SEO対策は、WEBサイトやブログの検索エンジン順位を向上させるための重要な手法です。その中でもキーワード選定は特に重要な要素となります。
しかし、多くの人がどのようにキーワードを選定すれば良いか悩むことが多いでしょう。この記事では、キーワードの「関連性」と「抽象度」という切り口から、適切なキーワード選定方法について考えてみたいと思います。
キーワードとユーザーの検索意図との「 関連性」
検索エンジンで、例えば
「バンコク 寿司屋」
と検索すると、「バンコクでおすすめの寿司屋●選」といったリスト、レビューサイトが上位に表示されます。私がバンコクの寿司屋の店長でSEOに注力していたとしたら「どうして自店のホームページが上位表示されないのか」と思うでしょう。
これには検索エンジンが持つ「関連性」という概念が大きく影響しています。
Googleは、ユーザーが検索したキーワードに対してユーザーのニーズとの関連性が最も高く、有益な情報を提供するページを上位に表示します。つまりユーザーの検索意図を満たすコンテンツを評価する仕組みになっています。
Googleは検索キーワードとユーザの検索意図との関連性を主に以下のような方法で定義しています。
1. 検索数の集計
Googleは特定のキーワードがどのくらいの頻度で検索されているかを追跡します。高頻度で検索されるキーワードは、一般的に多くのユーザーがその情報を求めていることを示しています。このデータを基に、Googleはキーワードの需要とその関連性を評価します。
2. サイト訪問後の行動の集計
Googleはユーザーが検索結果をクリックした後の行動も分析します。これには、ページ滞在時間、直帰率、クリック率(CTR)などが含まれます。例えば、ユーザーが「バンコク 寿司屋」と検索して特定のサイトに長時間滞在し、他のページも閲覧する場合、そのサイトがユーザーの検索意図に合致していると判断されます。この行動データに基づき、Googleは検索結果の関連性を評価します。
3. 機械学習アルゴリズムの活用
Googleは機械学習アルゴリズムを用いて、過去の検索データとユーザー行動データを学習し、将来の検索結果の精度を向上させています。これにより、特定のキーワードがユーザーのニーズとどのように関連しているかをより正確に予測することが可能になります。
検索エンジンは上記のようなデータを日々蓄積し、ユーザーの検索意図と関連性の高いコンテンツを定義し、日々アップデートを繰り返しています。
「バンコク 寿司屋」という例でいうと、検索エンジンは上記のようなデータの蓄積から、このキーワードに対して「ユーザーがバンコクでおすすめの寿司屋を探している」という検索意図を認識します。
これを基に、レビューサイトやランキングリストなど、バンコクでおすすめの寿司屋を探しているユーザーが有益と感じるコンテンツを上位に表示することで、ユーザーのニーズを満たそうとしているのです。
抽象度(具体性)という軸について
一方で「 抽象度(具体性)」という概念があります。
SEOにおいて、キーワードの抽象度と具体性を理解することは非常に重要です。
抽象度が高いキーワードとは、意味が広く、一般的な単語やフレーズを指します。
この種のキーワードは、広範な検索意図を持つため、汎用的で多くのユーザーに対応しますが、競争が激しく、上位表示の難易度が高くなる傾向があります。
例えば
「寿司」
このキーワードは非常に広義であり、検索するユーザーが求める情報が多岐にわたります。ユーザーは寿司の歴史、レシピ、寿司屋のリスト、栄養情報など、さまざまな目的で「寿司」というキーワードを検索する可能性があります。
一方、具体性が高いキーワードは、より狭い範囲を指し、特定の情報を求めていることが明確です。特定のニーズに対応するため、ユーザーの検索意図を明確に満たしやすく、競争が少ないため、上位表示がしやすい傾向にあります。
最も具体性が高いキーワードに、固有名詞があげられます。ブランド名、店舗名、サービス名、商品名・・といった固有名詞で検索するユーザーの検索意図は、その「ブランドやサービスについて知りたい」となりますので、自社名や自店舗名で検索したときに上位表示される可能性は非常に高くなります。
また、キーワードの具体性は「ワードの組み合わせ」によっても高くなります。
例えば
「アソーク 寿司屋 会食」
このキーワードでは、ユーザーが「バンコクのアソークで会食に使える寿司屋を探している」ことが明確です。検索意図がはっきりしているため、ユーザーが求める情報を提供しやすくなります。
具体性を高めるキーワードの組み合わせには例えば以下のようなものがあげられます。
1. 地理的な切り口
地理的要素を加えることで、キーワードの具体性が高まります。特定の地域や場所を指定することで、より具体的な検索意図に対応できます。
例: 「寿司屋」→「バンコク 寿司屋」→「バンコク トンロー 寿司屋」
2. 時間的な切り口
特定の時間や季節に関連するキーワードを加えることで、さらに具体的なニーズに応えることができます。
例: 「寿司」→「バンコク 寿司」→「バンコク ランチ 寿司」
3. 特定の属性や条件
商品やサービスに関する特定の属性や条件を追加することで、具体性が高まります。
例: 「寿司屋」→「バンコク 寿司屋」→「バンコク 高級寿司屋」
4. 購買意図
ユーザーが購買意図を持つキーワードを加えることで、具体的なコンバージョンに繋がりやすくなります。
例: 「寿司」→「バンコク 寿司」→「バンコク 寿司 食べ放題」
5. 問題解決や目的に関連するキーワード
ユーザーが直面している具体的な問題や目的に関連するキーワードを追加することで、具体性が増します。
例: 「寿司屋」→「バンコク 寿司屋」→「バンコク 寿司屋 テイクアウト」
これらの特徴を理解することで、様々な切り口で洗い出したキーワードを整理し、SEO戦略において適切なキーワードの選定に役立てることができます。
関連性と抽象度の二軸からキーワードの優先順位を考える
関連性を横軸、抽象度を縦軸としたマトリックスであらわすと、以下のような4つのゾーンに分類されます。
SEOにおいてキーワードを選ぶ際には、関連性と抽象度のマトリックスを活用することで優先順位の検討に役立ちます。
【A】「高い関連性 + 高い具体性」
ユーザーの検索意図と関連性が高く、かつ競争が比較的少ないため、上位表示されやすい特徴があります。検索ボリュームは少ないですが、ユーザーのニーズと合致している可能性が高いためコンバージョン率が高く、ビジネスへの影響が大きいゾーンです。
【B】「高い関連性 + 高い抽象度」
高い検索ボリュームを持ち、多くのトラフィックを期待できますが、競争が激しいのが特徴です。効果的なSEO戦略と高品質なコンテンツが必要ですが、成功すれば大きなトラフィックを期待できます。
【D】「低い関連性 + 高い具体性」
特定のニッチな分野で競争が少ないが、検索ボリュームが低いためトラフィックが少ないのが特徴です。ニッチ市場をターゲットにし、専門性を高めることで特定のユーザーに強くアピールできるゾーンです。
【C】「低い関連性 + 高い抽象度」
検索ボリュームが大きいが、競争も激しく、SEO効果が薄い。ターゲットユーザーとの関連性も低いため、クリック率が低く、投資対効果が低い可能性があります。
状況によって考え方は様々ですが、WEBサイトのアクセスアップ、CVアップを目指す一般的なSEO対策の場合、【B】のゾーンは、上位表示されれば大きなアクセスアップが期待できますが、一方で上位表示の難易度が高い場合が多く、注力している割には成果がなかなか出ない、という結果になる可能性もあります。当記事の冒頭の「バンコク 寿司屋」がその例です。
まずは【A】の方向性でキーワードのバリエーションを増やし、それぞれのコンテンツの質を高めながら、【B】の上位表示を狙うという考え方が効率的です。
また【A】の方向性でキーワードを数多く考えていくと、次第に関連性が低くなっていくものです。しかし、少し関連性がずれている、と思っていたキーワードが期待以上のアクセスとなったり、自分たちは全く関連性がない、と思っていたキーワードが、実はニッチなニーズに合致して高いCV率となる、というケースもあります。【A】のゾーンから【C】のゾーンへ広げていくという感耐え方です。あくまで関連性が高いキーワードが優先ですが、ときにはあえて関連性が低いと思われるキーワードを試してみて、ユーザーのニーズを探る、という戦略も必要です。
まとめ
キーワード選定は、SEOにおいて最も重要なステップの一つです。関連性の高いキーワードを選び、検索ボリュームと競争率のバランスを考慮しながら、適切なコンテンツを提供することで、検索エンジンの上位表示、およびWEBサイトのアクセスアップを目指すことができます。一方で、それらを実現するためには戦略的なアプローチと持続的な努力が不可欠です。適切なキーワード選定と高品質なコンテンツ作成により、効果的なSEO対策を行いましょう。